東京セラフィックオーケストラ 第19回定期演奏会 東京セラフィックオーケストラ 第19回定期演奏会 東京セラフィックオーケストラ 第19回定期演奏会

ごあいさつ

本日はご来場くださいまして誠にありがとうございます。
団員一同を代表しまして、皆様方に厚く御礼申し上げます。

当団は2004年9月23日に友人と共に6名で設立し、昨年2024年9月に団員60名となり、ちょうど20周年を迎えました。
初練習はどこも会場を確保しておらず、新宿のカラオケ館でボロディンのだったん人の踊りを合奏しました。わずか6名という少人数にも関わらず、とても熱い演奏で充実した時間を過ごした記憶が、今も鮮明に残っています。

ここまでは長く遠く、苦悩も多くありましたが、仲間と共に乗り越えてきて本当によかった、ここまで来たからこそ味わえる喜びが今ここにあると感じています。しかしながら、まだまだ自分が残せる事はあり道半ばだな、というのが21年目に入った現在の心境です。

毎回ご来場くださるお客様が大勢いらっしゃり、時にはご丁寧なお手紙をくださいます。そのお心遣いに心が温まります。
1年程前に逝去した父、そして現在も健在な母が毎回会場まで足を運んでくれており、いつも有り難く思います。

親身に根気強くご指導くださる指導者の方々、演奏会運営をサポートしてくださるスタッフの方々、演奏面をサポートしてくださる演奏賛助の方々。
そして、長年温かな優しさをもって助け合ってくれる仲間達。演奏会を成立させるには、全て欠かせない存在です。 団長として、その有り難さと重みを心にいつも感じています。
皆様、本当にありがとうございます。

設立時から、指揮者として鈴木隆先生に5年、横島勝人先生に10年ご指導いただいた中で、ベートーヴェンとブラームスの交響曲を全曲演奏し、オーケストラとしての演奏の礎を築いてきました。
ここから新たな20年がどう積み上がっていくのかが、とても楽しみです。

また、そろそろ世代交代の必要性も感じ始めているところでして、今の40代を中心とした楽団運営の中心メンバーに、ここ1年で30代前半の団員が複数名加わりました。
これからも当団のコンセプトである、「仲間達と共に音楽的な成長を楽しむ」環境を引き続き構築してまいります。

今回共演するクリストファー・ヒンターフーバー氏とは、2年前にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏し、今回が待望の2回目の共演となります。
当団との共演の為だけに来日してくださったことを、心より感謝申し上げます。
団員達は、2年前の素晴らしい舞台を思い出すと共に、より良い演奏を紡ぎ出す強い意気込みを持って、今回の演奏会に挑んでおります。
ぜひともご来場の皆様方もご一緒にお楽しみくださいますと幸いに存じます。

今後とも引き続きご支援ご声援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

東京セラフィックオーケストラ
団長 大塚 健司

Program

  • シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 作品54 Robert Schumann: 
    Concerto for Piano and Orchestra 
    in A minor, Op.54
    (演奏時間:約34分) I. Allegro aettuoso
    II. Intermezzo. Andantino grazioso
    III. (Finale.) Allegro vivace
    ピアノ:クリストファー・ヒンターフーバー
  • 休憩(15分)
  • チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調 作品64 Pyotr Ilyich Tchaikovsky: 
    Symphony No.5 in E minor, Op.64
    (演奏時間:約52分) I.Andante - Allegro con anima
    II. Andante cantabile con alcuna licenza
    III. Valse. Allegrro moderato
    IV. Finale. Andante maestoso - Allegro vivace

Program Notes

本日のプログラムはシューマン(Robert Alexander Schumann、1810-1856)のピアノ協奏曲と、チャイコフスキー(Peter Ilyich Tchaikovsky、1840-1893)の交響曲第5番です。
ピアノ協奏曲のソリストにクリストファー・ヒンターフーバーさんをお迎えしました。ヒンターフーバーさんとは2023年の共演以来、2度目の共演となり、私たちもとても楽しみにしています。

シューマン:
ピアノ協奏曲(イ短調 作品54)

シューマンは恩師の娘のクララと結婚した翌年、クララのために「ピアノと管弦楽のための幻想曲」を作曲しました。
これ以前からシューマンはピアノ協奏曲の作曲を目指していましたが、なかなかうまくいきませんでした。しかし親友のメンデルスゾーンが作曲したピアノ協奏曲に触発され、奮起して作曲したのがこのピアノ協奏曲イ短調です。
シューマンは「ピアノと管弦楽のための幻想曲」に手を加えて第1楽章とし、新たに間奏曲(第2楽章)、フィナーレ(第3楽章)を書き加えてピアノ協奏曲としてまとめあげました。
もともと第1楽章がピアノと管弦楽のための曲として作られたものであったこともあり、ピアノが単なる独奏楽器ではなく管弦楽器と対等の位置におかれ、独創的でロマンティックな作風の傑作です。

第1楽章:Allegro aettuoso

冒頭、オーケストラの短音の強奏に続き、ピアノが鋭い付点のリズムで応えます。
続いて第1主題はオーボエを中心とした木管楽器により提示されます。この主題は全曲を通して曲の核となるモチーフとして、繰り返し登場します。
ちなみに、この主題の「ドシララ」という音型はクララの名前にちなんだもの(クララのイタリア語読みChiarina==>CHAA)といわれています。
展開部はピアノとクラリネットが呼応しながら主題を変形させていき、オーケストラとのやりとりを経て、転調を重ねて再現部、カデンツァに入ります。その後軽快な2/4拍子で畳み込むように主題を演奏し、ピアノのアルペジオで力強く楽章を結びます。

第2楽章:Intermezzo. Andantino grazioso

この楽章には間奏曲(Intermezzo)という副題がつけられています。弦楽器とピアノによる軽やかで可愛らしい掛け合いで始まります。
中間部はチェロによるロマンティックな旋律が朗々と歌われ、ピアノが動きある音型で寄り添っていきます。溜息のような音型、会話のような掛け合いののち、第1楽章の主題をクラリネットとファゴットで長調と短調を行き来し、そのまま第3楽章に入ります。

第3楽章:(Finale.) Allegro vivace

明るく明瞭なピアノのメロディで入り、弦楽器が音階的な動きで加わり第3楽章が始まります。
舞曲調のやや速い3拍子に休止符を組み込んだリズムにピアノのシンコペーションが絡み、転調しながら活き活きと動きのある曲調を繰り広げていきます。
時折、流れるような音型になったり、またリズミカルになったりしつつ、圧倒的なクライマックスに向かい、華麗に曲が結ばれます。

チャイコフスキー:
交響曲第5番(ホ短調 作品64)

チャイコフスキーの交響曲で、第4番、第5番、第6番は後期3大交響曲と呼ばれ、人気が高く、よく演奏されています。第5番はその中でも特に人気があるのではないでしょうか。
チャイコフスキーは初演も含めて6度この曲を指揮しましたが、オーケストラに適切な指示が出せず、初演での批評も芳しくないこともあり作品に対する自己評価が低かったそうです。この作品を燃やしてしまおうかと考えたほどに…。その後、数々の名演を経て、今日の人気の曲となるので、燃やされなくて良かった!

第1楽章:Andante - Allegro con anima

この曲は「チャイコフスキーの運命交響曲」とも称され、冒頭でクラリネットが暗くひっそりと演奏する運命のモチーフは4つの楽章を通じて姿を変え何度も出てきます。
弦楽器のリズムにのり木管楽器が動きのある旋律を演奏します。ポーランド民謡から取られたメロディといわれ、これが弦楽器にも引き継がれていきます。
溜息のような半音のフレーズの後、抒情的なメロディをヴァイオリンが歌います。展開部、再現部を経て曲は盛り上がりを見せますが、再び冒頭の雰囲気に戻り提言の深い響きで結びます。

第2楽章:Andante cantabile con alcuna licenza

低弦の暗い和音によって始まりますが、だんだんと夜が明けていくような進行の後、ホルンの美しい主題が現れます。チャイコフスキーの名旋律ともいえるメロディはオーボエ、チェロなどに引き継がれ、弦楽器のカンタービレで大きくなっていきます。
曲想は短調に変わり、クラリネットの旋律が木管楽器、弦楽器と歌われ、頂点で金管楽器が力強く現れます。
再現部が最初とは違うオーケストレーションで広がり、運命のモチーフが強音で出てきた後、クラリネットが静かに曲を閉じます。

第3楽章:Valse. Allegrro moderato

弦楽器による美しいワルツで始まり広がっていきます。中間部では小刻みなリズムの動きと対比があり、楽章全体は優美に進みますが、最後に何となく不安な感じに運命のモチーフが現れ、最後はそれを振り切るように力強く終わります。

第4楽章:Finale. Andante maestoso - Allegro vivace

運命のモチーフが弦楽器、続いて管楽器によって、威風堂々と歌いだします。まるで運命に勝利した群衆の歌のようなフィナーレの始まりです。金管楽器が力強く登場した後、いったん収まりますが、ティンパニのクレッシェンドをきっかけに激しく動き出します。
細かいリズムの刻みに管楽器がメロディを奏で、高揚するように展開した後、金管楽器が運命のモチーフを明るく演奏します。
さらに熱っぽく展開していき、金管楽器のファンファーレ、ティンパニの連打に続き、全休止!壮大なクライマックスに入ります。
運命の主題が朗々と演奏され、輝かしさを増し、テンポを速めていき、最後はこれぞクライマックスという力強さで幕を閉じます。

(解説:Vn.村松美津子)

Profile

指揮:永峰高志
©michiko yamamoto

指揮:永峰 高志Takashi Nagamine, Conductor

東京藝術大学卒業後NHK交響楽団に入団。第1ヴァイオリン次席奏者、第2ヴァイオリン首席奏者として活躍する。2012年NHK交響楽団より同団への功績が認められ第32回有馬賞を授与される。2015年同団を退団する。

現在、オーケストラとの共演でソリストとして、またウォルフガング・サヴァリッシュ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス各氏との共演等で室内楽奏者としても活躍している。コンサートマスターとしても、新日本フィル、仙台フィル、山形交響楽団、N響メンバーによる室内合奏団等に客演し高い評価と信頼を得ている。

指揮者としても、シュトゥットガルト室内管弦楽団、新日本フィル、仙台フィル、アンサンブル神戸、N響団友オーケストラ、N響メンバーによる室内合奏団等の指揮をし、高い評価を得てその活動の場を広げている。

また近年は、アマチュアオーケストラの指導にも力を注ぎ、オンディーヌ室内管弦楽団、静岡フィル、FAF管弦楽団、フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団、山梨交響楽団などの定期演奏会に指揮者、コンサートマスターとしても出演している。

教育者としても国立音楽大学特任教授、洗足学園音楽大学客員教授、東京藝術大学非常勤講師として後進の指導にも当たり、その指導はヴァイオリン奏法だけにとどまらず、オーケストラスタディ、オーケストラ奏法にまで及び、門下からはミュンヘンフィル、フランクフルト放送響、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルをはじめ国内外のオーケストラのオーディションに数多くの合格者を輩出している。

2010年より岩手県久慈市文化会館(アンバーホール)の芸術監督も務め、数々の公演をプロデュースし成功を収めている。
また、八戸イカール国際音楽祭&ミュージックキャンプのディレクターも務めている。

ピアノ:クリストファーヒンターフーバー

ピアノ:
クリストファー・
ヒンターフーバー
Christopher Hinterhuber, Piano

オーストリア生まれ。 R.ケーラー、A.クエンチアン、H.メジモレックの各氏にウィーン国立音楽大学にて師事。 イモラ国際ピアノ・アカデミーにてL.ベルマンに師事。 ヨハン・セバスティアン・バッハ国際、プレトリア国際、ベートーヴェン国際ピアノ・コンクール他、多くのコンクールで入賞。
2002年から03年にかけて行われた、ヴァイオリニスト、P.コパチンスカヤとの国際シリーズでは、 新星ピアニストとしてNYカーネギーホールとヨーロッパ各地の主要コンサートホールで演奏し、その後世界各地の音楽祭に招かれる。
V.アシュケナージ、J.フルシャ、S.カンブルラン等の指揮者、著名オーケストラと多数共演。
また室内楽の演奏にも力を注ぎ、アルテンベルク・トリオのメンバーとしてウィーン楽友協会でのコンサートシリーズで演奏している。世界各国でマスタークラスを開講。現在ウィーン国立音楽大学教授およびピアノ学部の学部長を務める。

コンサートマスター:加藤えりな

コンサートマスター:
加藤 えりな
Erina Kato, Concertmaster

北九州市出身。5歳よりヴァイオリンを始める。
第42回全日本学生音楽コンクール福岡大会第1位。
中学生の時、ウィーン市立音楽院でトーマス・クリスチャンに師事。
東京芸術大学音楽学部付属音楽高等学校卒業。同高校の新校舎落成式にて記念演奏。同大学入学後パリへ留学。パリ国立高等音楽院、及びイヴリー・ギトリス氏のもとで学ぶ。ヴァイオリン、室内楽ともにプルミエ・プリを得て同音楽院を卒業。卒業後もJ.J.カントロフ、R.ドガレイユ各師のもとで研鑽を積む。

ザルツブルグモーツァルテウム国際アカデミーで大賞、ヴィエニアフスキ(ジュニア)国際コンクール、シュポア国際コンクール、リピツァー国際コンクール等で入賞及び特別賞受賞。ロンティボー国際コンクールセミファイナリスト。ノルマンディー室内楽コンクール第1位受賞(デュオ)後、フランス国内で多数の演奏会に出演。

日本では、NHK-FMリサイタル、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭(仏、日本)、軽井沢八月祭、東京・春・音楽祭、美浜・幕張音楽祭などに出演。南西ドイツフィルハーモニー、Paul Constantinescu Ploiesti フィルハーモニカ、東京都交響楽団などと協演。

現在、ソロ、室内楽、オーケストラ等幅広く活動中。東京芸術大学講師。芸大フィルハーモニア管弦楽団、横浜シンフォニエッタ、プレシャスカルテットのメンバー。

Interview

シューマン ピアノ協奏曲イ短調作品54 ソリスト 
クリストファー・ヒンターフーバーさん

第19回定期演奏会のソリストとして出演されるピアニストのクリストファー・ヒンターフーバーさんにお話しを伺いました。

ヒンターフーバーさんと東京セラフィックオーケストラは、2023年2月、第17回定期演奏会での共演以来、2度目の共演となります。今回の演奏曲への想いをお話しいただきました。(来日前の2025年2月8日、web会議でインタビューをしたものです)

英語版は日本語版の次に掲載しています。
The English version is posted below the Japanese version.

日本には何度も来日されていることと思いますが、日本に対する印象をお聞かせください。

雄大で長い歴史・文化を有する日本を、とても愛しています。それは訪問者として、例えば、数年前に奈良の東大寺を訪れた際や、日々のささやかな日常からも感じられます。また、草津には音楽アカデミーの関係で毎夏訪れています。草津温泉は大好きです。
また、日本人のホスピタリティや親しみのこもった応対には感心します。短い滞在であっても、いつも親身になってサポートしてくれます。

東京セラフィックオーケストラ(以下、当団と記載します)とは、2年前にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で共演しています。前回の共演は当団にとって格別な経験となりました。前回のコンサートの感想をお聞かせいただけますか。

団員の皆さんのほとんどは、演奏を職業としているのではなく他に本業を持って取り組んでいるにもかかわらず、音楽に真摯に向き合う姿勢に感銘を受けました。規律正しく、リハーサルを重ねる度に音楽の精度が向上していったことに驚かされました。

来月の定期演奏会ではシューマンのピアノ協奏曲を演奏します。この曲に対する特別な思いをお聞かせください。

この曲はロマン派のピアノ協奏曲の中で、最も作曲家の内面を表した曲と言えるかもしれません。また、室内楽的な要素も強く感じられます。例えば、第1楽章冒頭にはオーボエによる主題が、そして中間部にはクラリネットの旋律が、第2楽章にはチェロによる主題が奏でられます。この素晴らしい室内楽曲を大編成のオーケストラで奏でる醍醐味もあります。
加えて、第1楽章には「ド(C)・シ(H)・ラ(A)・ラ(A)」という主題が奏でられますが、この頭文字は「クララ(※)」であるように、楽曲の構造には多くのヒントが隠されています。
同じ調性で書かれたグリーグのピアノ協奏曲と比較すると、オーケストラとピアノがあたかも異なる2つの“ブロック”のように振る舞っている点においては、シューマンのピアノ協奏曲のほうがより洗練されているように思います。

※クララ:クララ・シューマン。シューマンの妻。

この協奏曲はクララ・シューマンへの恋文とも言われていますが、イ短調で書かれています。とりわけ冒頭のテーマは悲しく、物憂げにも聴こえます。ヒンターフーバーさんは何故この曲が短調で書かれたとお考えになりますか?

理由は様々あると考えられます。シューマンとクララの関係は複雑な歴史がありますし、クララのお義父さんとの確執の問題もあるかもしれません。また、作曲当時はすでにクララが新星のピアニストであったのに対し、シューマンはまだ作曲家として広く認知されていなかったといった理由もあるのかもしれません。
イ短調の調性は、古典やロマン派のレパートリーにおいて、内省的で憂鬱な感情を表現するのに広く使われています。イ短調の代表例として、モーツァルトのピアノソナタ第8番やシューベルトの3曲のピアノソナタ、弦楽四重奏曲ロザムンデが挙げられます。
ちなみにですが、私にとっては嬉しいタイミングで、偶然にも3月25日にウイーン学友協会ホールでクララ・シューマンのピアノトリオやソロの作品を含む演奏会を行うことになっています。

この曲の第3楽章はオーケストラにとって鬼門であり、リズムを捉えることが難しく感じます。オーケストラへアドバイスをいただけますか。

第1楽章は多くのルバートがありますが、第3楽章はインテンポで進行しますから実はそれほど難しくはありません。とにかく(小節を)数えること、そして、恐れない(!)ことです。もう一つ、特徴的なヘミオラではpp(ピアニッシモ)を意識することです。

ヒンターフーバーさんの演奏は情熱的、そして躍動的で表情豊かであると感じます。演奏において最も大切にされていることは何ですか?

あらゆる演奏家にとって、聴衆との対話は最も大事な要素です。私の唯一の目的は、演奏を通じて人々の心を動かす事です。人々の感情や内面に変化をもたらすことが音楽の真骨頂であると考えています。ただのルーティーンとして演奏をして、聴衆にインパクトを与えないコンサートには価値がありません。
近年、あらゆる楽器において技術レベルが向上しています。しかし、技巧的な完璧さは本質ではありません。こういったことを考えていくと、クララ・ハスキル、アルトゥール・シュナーベル、アルトゥール・ルービンシュタイン、ナタン・ミルシテイン、パブロ・カザルスといった歴史的な音楽家たちの大胆な表現力には敬服せざるをえません。

最後に演奏会にお越しになるお客さまに向けてメッセージをお願いします。

杉並公会堂という素晴らしいホールで、再び東京セラフィックオーケストラとシューマンの協奏曲という素晴らしい曲を演奏できるのを楽しみにしています。とても記憶に残るコンサートになると思っています。

ありがとうございました。団員一同、ヒンターフーバーさんとの共演を楽しみにしています。

(インタビュアー Ob.笹原俊一)

English version

I guess you have visited Japan many times. What are your impressions of Japan?

I really love Japan, because it is a wonderful country with a big, old and long culture. I can feel it as a visitor, for example when I visited some years ago the old temple called Toudaiji in Nara but also in many small things of daily life. And I am almost at the Kusatsu Festival and Academy every summer - I love traditional hot springs there!
I also admire the hospitality and friendliness of the Japanese people, I always feel supported in my work even in a short stay.

Two years ago, we played Rachmaninov concerto No.2. It was a great experience for our orchestra.
Could you tell me your impressions about the last concert?

I was happy about the professional attitude of the orchestra, even though many of its members are not professionals.
It was really amazing to see how the orchestra improved and improved through rehearsals!

We will play Schumann concerto next month.
Do you have any special feelings about this concerto?

It's among all romantic piano concertos maybe the most personal piece, especially as it feels like chamber music, just on a large scale, with many musicians. There are wonderful solo sections together with piano, for example the oboe solo at the beginning and the clarinet solo in the middle of the 1st movement and the cello group solo in the middle of the 2nd movement. Hidden in the structure are many clues as the theme of the 1st movement, c-b-a-a as an acronym for Clara.
Compared to the Grieg piano concerto in the same key, where the orchestra and the piano are acting like two different 'blocks', the Schumann Concerto seems much more refined.

It is said that this concerto is a love letter to Clara.
But this concerto was written in A minor.
Especially, the beginning theme sounds sad and melancholy.
Why do you think this concerto was written in minor key?

I think there are many reasons: the relationship between Robert and Clara had a difficult history, especially because of the negative reaction of her father, then she was already a rising star as a pianist and Robert was not yet widely recognised and accepted as a composer. A minor is in the classic-romantic repertoire always used when there is a very personal and private melancholy expressed, for example in Mozarts Piano Sonata K.310 or Schuberts 3 A Minor Piano Sonatas as well as in his 'Rosamunde' string quartet.

By the way, it is a nice coincidence for me that I will play a Robert/Clara Schumann-Brahms chamber program including Clara Schumann's piano trio and solo piece on March 25 in the Musikverein in Vienna.

It is very difficult for orchestra to play the 3rd movement.It is difficult to capture the rhythm.
Could you please give some advice for orchestra?

Actually the 3rd movement is not too difficult because the tempo and the pulse are very steady while the 1st movement has a lot of rubato. Just count and don't be afraid! And it is also important to consider the pp dynamic when playing the famous hemiola sections.

Your performance feels passionate, dynamic and expressive.
What do you value most in your performance?

I think it's really important for every musician to communicate with the audience. My only goal is to touch somebody through the music, the essence of music is to generate an emotional response or thoughts. If you just see the concert as a routine and there is little or no impact, then the concert has no meaning at all.
Nowadays, the technical level of any instrument is quite high. But the technical perfection is not the most important. In this aspect I admire historic musicians as Clara Haskil, Arthur Schnabel or Arthur Rubinstein on the piano, Nathan Milstein on the violin or Pablo Casals on the cello for their fearless expressive abilities.

Lastly, could you give a message to the audience who will be at the concert?

I look forward to play again with Tokyo Seraphic Orchestra again in the wonderful Suginami hall. The program is very beautiful and I think it will be a memorable concert!

Thank you for the interview today.
We look forward to playing with you next month.

(Interviewer: Shunichi Sasahara, Oboe)

Orchestra Members

Concertmaster
加藤 えりな
1st Violin
石川 雄一
川崎 純
佐野 由美子
芹澤 弘美
新田 ひろみ
堀田 華子
村松 美津子
山本 幸枝
吉澤 京一
吉澤 由美子
2nd Violin
石橋 蘭子
伊関 麻由子
井上 貴之
上野 美紀
岡本 ルナ
鹿取 健太郎
趙 孟晨
土井 美和
飛田 奈美
華山 雅子
松本 由美
Viola
岩松 優
内山 采音
大塚 健司
加藤 敬子
島田 さなえ
一木 正宣
藤井 麻由
山田 優子
Cello
遠藤 清
小澤 絵美
首藤 真理子
田部井 麻名
畠田 千鶴
山口 紀陽子
吉田 文也
渡辺 一騎
Contrabass
井上 陽
後藤 桃
小林 萌香
瑞樹 瑠奈
森井 歌穂
Flute
岩下 義明
玉木 由香
前川 素子
森重 有加
Oboe
笹原 俊一
古岩 香
渡邉 佳奈
Clarinet
太田 裕代
西野 海音
横山 紘美
Fagotto
秋山 公美
坂本 亜紀
松本 仁
Horn
上原 貴行
坂元 奈津子
内藤 貴司
春名 裕之
宮澤 和恵
Trumpet
石川 由里絵
猿田 桂
玉利 勇賢
三輪 紀昭
Trombone
鮎瀬 桃子
菊地 沙也加
高瀬 勝之
Tuba
樋口 学
Timpani
品川 未来

Tokyo Seraphic Orchestra

私たち『東京セラフィックオーケストラ』は、2004年9月に設立した楽団です。
「東京」には、世界の中の日本という認識を持ち、国際舞台を視野においた日本のアマチュアオーケストラ団体としての自負の想い。
「セラフィック」には、天使の中でも最も階級の高い熾天使(してんし:英語でSeraph)のように(Seraphic)、より高い目標を持って演奏にのぞもうという想い。
「オーケストラ」は、「交響楽団」や「管弦楽団」という言葉よりも、和やかで楽しい語感を持つところから、「堅苦しいものではなく、誰からも親しまれる雰囲気のなかでクラシック音楽を届けてゆく団体にしたい」との想い。
これらの想いから名付けました。
練習は新宿区を中心とした公共施設等で行っており、主な活動として年1回の定期演奏会やサマーコンサート、慰問演奏会等を行なっています。

URL:
https://www.seraphicorchestra.com/

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当団では、パソコン・タブレット・スマートフォンでのご回答をお願いしております。
お帰りの途中やご自宅で、どうぞごゆっくりご回答ください。

  • ご回答の所要時間は、5分~10分程度となっております。
  • 選択のみでのご回答もできます。※次回演奏会のご案内をご希望される方は、お名前・ご住所等の入力をお願いいたします。

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【ご回答期間】
2025年3月29日(土)23:59まで

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